「私がいなくても、仕事が回るようにしたい」
管理職になってから、ずっと意識してきたことがある。
部下が自分で考え、判断し、問題を解決できるようになること。
何かあるたびに私に確認しなくても、現場で対応できるようになること。
そのために、できるだけ仕事を任せてきた。
自分でやった方が早いと思うこともある。
でも、そこは我慢する。
時間がかかっても、部下に経験してもらう。
そうしなければ、いつまでたっても組織は育たないからだ。
そして最近、少しずつ成果が見えてきた。
嬉しい。
本当に嬉しい。
でも、その一方で、ふと思うことがある。
「あれ? 私って、もう必要ないんじゃない?」
自分が目指してきたことなのに。
なんとも矛盾した話だ(笑)。
自分でやった方が早い。でも、やらない
私は今、35店舗の薬局を統括する管理職として働いている。
店舗運営、人員配置、採用、数字の管理。
日々、さまざまな問題が起こる。
長年仕事をしていれば、ある程度のことは経験で判断できる。
だから、部下に任せるより、自分で対応した方が早いこともある。
でも、私はできるだけ自分でやらないようにしている。
部下に考えてもらう。
自分で判断してもらう。
必要なときには相談に乗るけれど、最初から答えを渡さない。
もちろん、失敗してはいけないことには関わる。
でも、多少時間がかかっても、経験してもらうことを大切にしたい。
なぜなら、私がいなくても運営できる組織を作ることが、管理職としての目標だからだ。
部下が育つことは、間違いなく嬉しい
以前なら私に相談していたことを、部下が自分で判断している。
問題が起きても、自分たちで解決している。
そんな報告を聞くと、嬉しくなる。
成長したな、と思う。
任せてよかった。
我慢して見守ってきてよかった。
そう感じる。
管理職の仕事は、自分が成果を出すことだけではない。
部下が育ち、組織全体で成果を出せるようになること。
私はそう思っている。
だから、部下が自分の力で仕事を進められるようになるのは、私にとっても大きな成果だ。
そのはずなのだ。
でも、少し寂しいと思ってしまう
部下が成長すると、私に来る相談が減る。
自分たちで判断できることが増える。
問題が起きても、私が出ていかなくていい。
本来なら、理想的な状態だ。
でも、そんなときに限って、ふと思う。
「私、何のためにいるんだろう」
頼られなくなったわけではない。
仕事がなくなったわけでもない。
それなのに、少しだけ寂しくなる。
自分がいなくても大丈夫な状態を目指してきたのに、自分がいなくても大丈夫になってくると、不安になる。
本当に勝手な話だ(笑)。
でも、長い間、仕事の中で必要とされることに喜びを感じてきたのだと思う。
問題が起きたら相談される。
判断を求められる。
頼ってもらえる。
それが、いつの間にか自分の存在価値の一部になっていたのかもしれない。
必要とされることと、組織が育つこと
ここで、少し考えた。
私がいなければ仕事が回らない組織。
私がいなくても仕事が回る組織。
管理職として目指すべきなのは、間違いなく後者だ。
それなのに、前者の方が自分の存在を実感しやすい。
なんとも厄介だ。
でも、もし私が必要とされ続けることを優先したら、部下の成長を妨げてしまうかもしれない。
相談されることが減ったのは、私の価値がなくなったからではない。
部下が成長したから。
自分で判断できる組織に近づいているから。
そう考えれば、むしろ喜ぶべきことなのだと思う。
管理職としての成功は、自分が必要とされ続けることではなく、自分がいなくても組織が成長していくことなのかもしれない。
52歳、そろそろ次の役割を考える
私は60歳を過ぎたら、仕事を少し減らしたいと思っている。
65歳には引退したい。
そのためにも、今のうちから、自分がいなくても仕事が回る組織を作っておきたい。
でも、それは自分の居場所をなくすことではない。
今まで自分が対応していた仕事を部下に任せられるようになれば、私はもっと先のことを考えられる。
次の管理職を育てること。
組織全体をより良くすること。
これからの働き方を考えること。
やるべきことは、きっとまだある。
そして、いつか本当に私がいなくても大丈夫になったら。
そのときは、胸を張って仕事を離れられたらいい。
私がいなくても大丈夫。それが理想なのに
とはいえ、頭で分かっていても、気持ちは簡単には割り切れない。
部下が立派に成長していく姿は嬉しい。
でも、ちょっと寂しい。
これが今の正直な気持ちだ。
管理職としての自分と、一人の人間としての自分。
同じ私なのに、感じることは必ずしも一致しない。
でも、それでいいのかもしれない。
寂しいと感じるくらい、今まで仕事に向き合ってきたということなのだから。
これからも、部下にはどんどん仕事を任せていこうと思う。
そして、いつか本当に言われる日が来るのだろうか。
「もう大丈夫です。私たちでできますから」
そのときは、きっと嬉しい。
そして、きっと少し寂しい。
でも、それが私の目指してきた管理職の姿なのだと思う。
さて、その日が来たら、平日にゴルフでも行こうかな。
……なんて言いながら、やっぱり少し仕事が気になるんだろうな(笑)。
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